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完全解説! 『月光キャンプ』後編

エマーソン、レイク、アンド、パーマ! 亜門虹彦です。

えー、現在『眠れないほどおもしろい心理テスト』(三笠書房・王様文庫)が発売中であります。よろしかったら、ぜひご覧になってみてください。

またお仕事などもろもろの連絡メールは、turbine2000@gmail.comにお願いします。こちらから、折り返し、本メールにて返信させていただきます。

さて、『月光キャンプ』の撮影者自身による解説の続きであります。キャンプの参加者のひとりの絞殺死体が、突然出現! 真犯人はいったい誰? 動機は何? …ということなのですが。

ご覧になって頂いた皆さんは、事件の真相にたどり着くことができたでしょうか?

まだという方のために、今から決定的なことを申し上げます。えーと、犯人の体の一部と言ってもいいものがはっきり写り込んでいる写真があるんですね。それは68番の写真であります。左下の部分をご覧になってください。どうですか? 髪の毛のようなものが写っていますよね。これで、犯人の名前を指摘できるのではないでしょうか?

おや? まだおわかりにならない? そういう方は、キャンプに行った人数を数えてみてください。

6人? いやいや違います。車の中の写真などでもわかるように、キャンプに行ったのは7人なんですね。ということは……。まどろっこしいので、もうはっきり言ってしまいましょう。7人目の人物が、真犯人なんですね。つまり撮影者であるところの、亜門虹彦が、犯人でした~! ここで、『撮影・亜門虹彦』というクレジットが、俄然意味を持ってくるわけでございます。

では動機は? ここで68番の写真であります。髪の毛が写っていますよね。これは、落ちたカツラであります。亜門虹彦、被害者の彼女といい雰囲気になって、夜のデートを楽しもうとした。でもいざという場面で、カツラが落ちて見られたくない姿を見られてしまう。そこで錯乱して、発作的に犯行に及んでしまった…というわけでございます。

犯人ですみません……。浅い動機ですみません……。でも東野圭吾先生のデビュー作『放課後』の動機は○○○○なわけで、この動機もありだと思うのですが……。

ちなみに、地面に映った影の写真が何枚かあると思いますが、これはもちろん私がカツラを被った姿を写したものであります。

どうですか? ご納得いただけましたでしょうか? 余談ですが、69番の写真がなぜか100番の写真の後に飾られていますよね。死体は発見された時は目を閉じていましたが、69番は目を見開いた死体の写真。つまり69番の写真を撮った後で、犯人が死体の目を閉じたわけで、69番の写真を撮ることができたのはもちろん犯人以外にはおりません。これも撮影者が犯人だという手がかりのつもりだったのですが、普通に69番の位置に置いたのではちょっとわかりやすすぎると考え、69番を100番の次に展示したわけであります。

えー、「撮影者が犯人である」という事件の真相を設定したのは、私なりに意味があるんですね。それというのも、「写真にとって、撮影者とは何か」ということを考えたかったからであります。写真というのは不思議なジャンルでありまして、撮影者がその存在をかき消している時がしばしばある。でもそういった写真は私にとって、あまり面白いものではないんですね。

撮影者は神の視点を持った特権的な記録者ではない…と、思うのですよ。むしろ撮影者が、被写体にどのような関わりを持ったかの記録が写真であって……。この辺、ミステリ的に言うと「後期クイーン的問題」ということになるのでしょうか?

さらに普段は禿げていることを隠していない私が、実は禿に悩んでいる人物として写真を撮るわけで、今回被写体になってくださった皆さんはそれぞれのキャラを演じていたわけですが、実は撮影者の亜門虹彦がいちばん「演じていた」ということでございます。

いかがでございましょうか? 作者の自己弁護、自画自賛にここまでお付き合い頂いて、ありがとうございます。

今後も、写真展は色々と計画しております。ただ、今進行している企画はどれもそれなりに、予算や時間がかかるのが難点ではありますが……。
by nijihikoamon | 2011-07-05 18:57 | 平穏な日常